ここは海抜2.8メートル

ここは、自分のための雑記置き場です。

ここは海抜2.8メートル

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学生時代のノートが必要になり、本棚の整理をしていたら、これまで書いてきたレポートや日記が出てきました。ゆっくりそれらを読み返すと、芋づる式に当時の空気感や抱いていた疑問、見ていた景色を思い出しました。

わたしが住んでいる場所は海の近くで、物の保管に関してはいつか終わりがくる可能性があります。紙類なんて特に。
頭の片隅には確実に存在している記憶たちには時が経つにつれアクセスしにくくなりますが、何らかの形で残しておけば失くさないで済むかもしれない。絶滅しそうな生物のDNAを保存しておくのと同じような感じに。

そんなことを考えました。

わたし個人が失くさないでおきたいものには、くだらないことや些細なことも含まれ、絶滅しそうな生物ほどの重さは絶対にない、むしろホコリ並みの軽さのものがほとんどですが、書いていきます。


それと先日、ゼミの指導教官のブログを見つけました。やっていたなんて知らなかった。最新の記事は5年前のもので、それはわたしが先生のゼミに入ったばかりの頃です。記事を遡っていくと、彼がゼミや授業で触れていた映画に関するものもいくつかありました。わたし個人に薦めてくれた作品もありました。

わたしにさらりと教えてくれたそれを彼は公開前から気にしていて、複数回にわたって記事を書き、劇場では場内や観客の観察をし、作品についても細かく記録していました。

その映画が公開されたのはわたしが高校生の時で、実はわたしはわたしでその映画に関するニュースを追い、関連したテーマでレポートを書いたりしていました。

それらの記事を読んで、わたしが少しマニアックな自分の研究テーマについて発表した時に彼が間を置かずに多くの具体的な言葉を返してきた理由が分かりました。彼は、わたしが考えたテーマについて既に一通り考えたことがあった。そしてきっと、わたしのテーマだけではなく、他のゼミ生のテーマのいくつかについてもそうだったのでしょう。

わたしには「それなら『○○』という映画を観るといいかもしれない」と軽く言っただけ。けれどその短い言葉の後ろに、長い時間や経験、考えたこと、文章にしたことが存在していたんです。なんだろう、水溜りだと思って足を踏み入れたら、その下には実は海が広がっていた、みたいな感じ。

そして、先生と知り合う数年前に同じことにわたしも関心を抱いていた。彼のゼミに所属して指導を受けても、その映画の公開前後に彼が考えていたことを知ることは出来なかった。しかし、思いがけずネット上で知ることとなりました。面白くないですか。


これもわたしが失くさないでおきたい、最近の些細な出来事の一つです。