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写真新世紀展 デレク・マン氏『What Do You See, Old Apple Tree?』について

写真新世紀展に行ってきた。
一番好きだと思った作品は、デレク・マンさんの『What Do You See, Old Apple Tree?』でした。

 

この作品は、りんごで作ったピンホールカメラで撮影されたものである。

イギリスで、都市開発によって姿を減らす果樹園。この作品は果樹園を設立・復元するためのプロジェクトで、チームメンバーやボランティア、訪れた人々を写真に収めたもの。

地元のボランティアとともにりんごを採り、それでカメラを作る。写っている人々の何人かは笑っていて、りんごを見て笑ったのだ、と思うととてもよかった。カメラとして使用したりんごはちゃんと食べる。

会場ではそれらの写真だけでなく、カメラとなったりんごの写真とドキュメンタリー映像が展示されていた。
意図からカメラのりんごを食べるというおわりまで、質量がものすごいし、ドキュメンタリーも面白く、制作の流れ全てをうつくしく感じた。ステートメントの「果樹園の存続に誰一人欠かすことのできないチームメンバーやボランティア」という言葉をはじめ、作品全体に優しさが溢れていた。

 

なかなかその場を離れたくなくてずっと見ていたら、泣きそうになりました。自分の中でうつくしさの意味が一つ増えた気がする。この作品を見られたことに感謝します。